症候編:尿が泡立ちますーどうやってできるのか?

腎臓病

 尿の泡立ちはどの様にして起きるのでしょうか?

 泡は, サーファクタントの助けを借りて水の中に空気を含むことで作られます. 

 サーファクタントは, 両親媒性の有機物です. 両親媒性とは簡単にいうと, 水に溶ける部分と溶けない部分を持つ物質の総称です.

 よって, 泡を作るには尿中にこの両親媒性となるタンパク質やポリペプチドが尿中に存在することが必要です. また特定の自由アミノ酸が泡の形態を維持することにも繋がります.

 尿が泡立つ腎臓の病気で昔から有名なのは, アミノ酸尿であり近医尿細管障害が認められる時です. 具体的には2型RTAを呈する, Dent病, ウイルソン病, カドミニウム中毒, 多発性骨髄腫, SGLT2阻害薬の利用で近位尿細管障害が認められることが多いです.

 また生体内の細胞1つ1つにたくさんのリン脂質があり, 泡の構成成分の1つと言われています. そのため, 細胞が大量に破壊されることでも尿中に流出してくるため尿の泡立ちが認められることがあります.

 上記以外にも現時点で尿中へ流出しうる親媒性の有機物として下記のものが報告されています.

 生体から分泌した88種類の有機物のうち, 16種類が尿中でも認められることがわかりました(下記原文のまま参照). うち15種類は胆汁酸の構成成分であり, 残り1種類は脂肪酸エステルでした.

 L-Palmitoylcarnitine, Taurohyocholate, 1b,3a,12a-Trihydroxy-5b-cholanoic acid, Allolithocholic acid, Isoursodeoxycholic acid, Chenodeoxycholic acid, Hyodeoxycholic acid, Lithocholic acid, Hyocholic acid, Glycoursodeoxycholic acid, Taurocholic acid, Ursocholic acid, Taurochenodesoxycholic acid, Deoxycholic acid, Cholic acid, Glycocholic acid

 From Clin J Am Soc Nephrol. 2019 Nov 7;14(11):1664-1666.

尿に泡ができるかどうかは、尿中にサーファクタント(タンパクや胆汁酸の構成物質)となりうる物質が含まれているかに依存します.

 

 

 

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