Update 20240402
小林製薬「紅麹コレステヘルプ」を発端とした腎障害の報告がなされている(https://jsn.or.jp/medic/newstopics/formember/post-555.php).
日本腎臓学会からのアンケートの中間報告(https://jsn.or.jp/medic/newstopics/formember/post-557.php) がある.
・3月31日19:00時点で47例の集積
・患者層は30歳代から70歳代まで認められ, 40歳~69歳が約9割を占める.
・現時点ではやや女性に多い傾向がある(66%)
・服用開始時期は様々
・初診時の主訴は半数以上の症例で倦怠感や食思不振, 尿の異常, 腎機能障害, 一部腹部症状
・検査データは, 尿蛋白が多めの, Fanconi症候群パターン
・腎生検は2023年12月から2024年3月にかけ, 34症例に実施され尿細管間質性腎炎尿細管壊死、急性尿細管障害が主な病変(最終報告は未着)
・治療は薬剤中止, 症例に応じてステロイド, 透析療法など
(一部意訳あり)
・情報は更新中であり, 健康被害と紅麹コレステヘルプとの因果関係については科学的な検証が必要とのコメント通り, まだ断定はできない.
尿の泡立ちが腎臓病のサインとの断定的な表現や一部報道があり, 今後, 尿の泡立ちが心配で来院される患者の増加が懸念され対応が必要になる.
一般的に泡は, ①水に溶ける部分と②溶けない部分を持つ有機物の混在で構成される. 具体的にどのような有機物で作られるのかに関しては別記事を参照. 通説として, 尿の泡立ちは蛋白尿を示唆すると患者や医療者にはこれまでも信じられてきた.
実際に尿がいつもより泡立っているとしたら何を考える?
現時点では5つの可能性を考える.
①勘違い
②尿濃縮
③尿蛋白陽性
④胆汁酸の過剰排泄状態
⑤現時点では同定されていない物質の存在
詳細に関しては,
①尿の泡立ち自体, 主観的な捉え方であるため, 最も多い原因と考えられる.
②体液量不足で尿中の有機物濃度が上昇すると泡立ちやすい.
③いわゆる腎臓病の兆候である. 外来で尿の定性検査や定量検査, 必要時は腎機能の評価を行う.
④疾患や薬剤の影響による胆汁酸の増加
⑤除外診断
実際の外来では, 問診で過去の健康診断歴や既往歴の確認, また昨今のサプリメント摂取を含む病歴を確認した上で個々人の状況に応じて検査の適応を決めて対応する.
まとめ
尿の泡立ちが腎臓病, さらには蛋白尿を示唆することもあり得るが必ずではない.
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