症候編:尿の色が変です.

外来管理

 突然ですが, おしっこする時, 「尿の色」を気にしていますか?

 回答としては, 薄い色?濃い黄色?赤色?などなどあるかなと思いますが今朝の皆さんの尿の色は?実は世の中には私たちが思っている以上に様々な尿の色が存在します. 

 正常の尿
 黄色です. たくさん飲水して尿がたくさん出れば薄い色になるし, 水分が足りなくて脱水になれば濃い黄色になります.

 ところで正常とはいえ, なぜ尿の色は黄色なのでしょうか?考えたことはあるでしょうか?

 正解はウロビリノーゲンの色と考えられています.
 簡単に説明すると, 血液の中の成分である赤血球, その中に酸素を運ぶヘモグロビン(通称:Hb)というものがあります. 赤血球の寿命がきて脾臓で壊されて, 肝臓でビリルビンというものに変換され胆汁とともに, 腸管へ捨てられます. 腸管の中にある細菌がそれを分解しウロビリノーゲンやステルコビリンに変換されます.

 ウロビリノーゲンは腸から便へとなる物もありますが, 血液中に再吸収されて腎臓へ到達します. ここで本来は糸球体により, ある程度大きい分子は通過できず尿中には出ていかないのですが, ウロビリノーゲンはとても小さい分子であるので, 腎臓の糸球体を容易に通過できます.

 すなわち尿の中にウロビリノーゲンが含まれているという結果になり, それが酸化されウロビリンとなります. ウロビリンが黄色であるため尿の色が黄色となります.

 ちなみに便の色はステルコビリンの色です.

 全身を巡っている血液も実は尿や便から形を変えて捨てられているということになります .

 さてでは他の尿の色はどうでしょうか?

赤ー褐色尿
 ヘモグロビン尿、ミオグロビン尿などでみられます. 薬剤ではリファンピシン, フェニトイン, メトロニダゾールでも出現することがあります. また食事内容物でも認められることがあります. 忘れてはいけない病気にポルフィリアもあります. もちろん血尿の鑑別も忘れてはいけません.
白色尿
 みたらびっくりするでしょう. 乳糜尿, リン酸塩が認められる場合に出現することがあります.
ピンク色
 これもびっくりですね. 尿酸塩が認められる状況でプロポフォールを使用した時に認められます.
緑色
 メチレンブルーやプロポフォールを使用した場合に認められることがあります.
黒色
! 重度のヘモグロビン尿や先天性疾患であるアルカプトン尿症やメチルドパやレボドパなどの薬剤でも認められます.
紫色
 これはパープルバック症候群として有名です. 慢性便秘を有する尿道カテーテルが長期間挿入されている患者の尿に認められることが多いです.

自分の尿の色は何色かな?積極的に確認してみましょう.

 

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