症例1:44歳男性、健康診断で尿タンパク2+、自覚症状なし
症例2:56歳男性、糖尿病の既往あり、尿タンパク3+
尿潜血の時と同じように多くが無症状です.
ステップを踏んで考えます.
1 その蛋白尿は一過性?
2 持続性であれば尿沈渣、尿タンパク/Cr比を測定
1 については基本的には、尿タンパクの検査は「基本的には一過性」のものは精査対象としません. では一過性であっても尿タンパクは起こるのでしょうか?ー起こります.
一過性の尿タンパクと起立性尿タンパクに分けられます.
ただし前提として「病歴でも腎疾患の既往もなく, 腎機能も正常, 尿潜血も正常である人」に認められる必要があります.
一過性尿タンパクの鑑別疾患は下記となります. ある報告では, 18歳未満の8-12%に認められると言われています.
・発熱
・極寒状態
・痙攣後
・運動
上記の場合, 大抵が尿タンパク/Cr比<1g/日
・検査の偽陽性
これとは別に
・起立性タンパク尿
臥位では認められないが立位になると認められる現象です. 明確な機序は不明ですが, 糸球体の腎血行動態に影響を受けると言われています. 30歳以上で見つかることは珍しく主に思春期に認められることが多いです.
臥位と座位での尿検査を比較することで診断ができます.
注意点としては, 起立性タンパク尿では臥位の時の尿タンパクは正常でなければなりません. 腎疾患が併存している場合は, 臥位であろうがなかろうが異常と考えます.
2 持続性は全例精査対象です.
持続性というのはある一定期間を開けて検査しても再度同様の結果であることを指します. 検査のためには尿定性検査と尿定量検査を用います.
まとめ
・尿タンパク患者の多くが無症状です.
・精査対象は持続性尿タンパクです.
・一過性であっても他に腎機能障害の兆候が認められないかの確認が必要です.
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