尿検査 尿糖陽性

尿検査

尿検査はいろいろな情報を得ることができるのはご存知の通りですが、今回のテーマは尿糖についてです。

検査の原則
どういう原理で実施されるのか?
実施のための適応は?
結果の解釈は?陽性陰性の判定の基準は?
偽陽性と偽陰性となりうる状況は?

原理・原則

ブドウ糖と酵素の合併により色原体が酸化され、紫色に変色します。
注意点としては、試験紙の種類により測定感度閾値が異なる場合があります。
偽陽性となる条件は、酸化剤物質(次亜塩素酸など)が混入した場合であり、偽陰性になるのは、アスコルビン酸、L-dopa、細菌混入、尿検体の放置があります。

臨床での考え方

ブドウ糖は主に近位尿細管(SGLT1 10%とSGLT2 90%)で再吸収され、健常者は尿中に25mg/dl未満の糖が出ていると考えられています。
それ以上の尿糖を認めた場合はブドウ糖尿と考えられます。一般的な試験紙では、尿中ブドウ糖が50mg/dl以上で検出されることが多いです。
尿糖陽性であることは、背景疾患のいかんにかかわらず健常者と比較して死亡リスクが高い可能性があることは知っておく必要があります。

異常=尿糖陽性となる条件

①再吸収を超えるブドウ糖が血中に認められる
随時血糖>160-170mg/dl で再吸収量を超えると考えられます。

②再吸収が不全
近位尿細管の再吸収阻害を認める疾患(代表的にはFanconi症候群)
SGLT1の変異:グルコース・ガラクトース吸収不良
SGLT2の変異:家族性腎性糖尿
GLUT2の変異:ファンコニ・ビッケル症候群
また近年では、SGLT2阻害薬の使用で尿糖陽性となるのはご存知の通りです。

実際の診療の流れ

尿糖陽性→検査の偽陽性となる条件の除外、必要であれば一過性尿糖の否定のために再検査→①の否定のために血糖値含めた耐糖能障害の評価→②の可能性を考え病歴聴取、血清検査で低P血症や血液ガス分析で代謝性アシドーシスの確認→原因毎に対応

まとめ

尿糖陽性の場合は①高血糖の有無, ②尿糖排泄を亢進する薬剤が認められないかを確認した上で対応を決めていきます。

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