腎臓内科医は状況に応じて, 腎生検を行います. 腎生検の目的は, 診断, 治療反応性と予後判定のために行います.
病理を勉強する際には疾患毎の特徴となる縦の知識が必要ですが, 応用をきかせるためには横断的な理解も必要です. この縦と横の知識を組み合わせることで強固な病態の理解につながると考えられます.
さてその上で, 特にネフロンを構成する細胞に関する基本的ですが応用を効かせるための知識を確認します. 参考にする書籍は腎病理読解ロジックです.
ここで、代表的な糸球体すなわちボウマン嚢を構成する4つの細胞を紹介します. ここで述べるのは基本ではありますが, 極めて重要なことなので, いつでも知識として使いこなせるようにしておく必要があります.
分布も重要であり, 血管側から尿管腔側に向かって,
①血管内皮細胞
②メサンギウム細胞
③足細胞
④ボウマン嚢上皮細胞
となります.
細胞増殖性変化の見方の重要なポイントとして,
「局在」と「基質産生」
細胞自体が増殖できるのか, 増殖の際に基質を産生できるのかが重要です.
糸球体の | 細胞の種類 | 増殖性 | 基質の産生能力 |
内側 | 血管内皮細胞 | ○ | × |
内側 | メサンギウム細胞 | ○ | ○ |
外側 | 足細胞 | × | △ |
外側 | ボウマン嚢上皮細胞 | ○ | ○ |
表のポイントは2つあり, 足細胞自身は増殖できない点と基質産生はメサンギウム細胞とボウマン嚢上皮細胞が主体となる点です.
基質はPAM染色で染まるため, この差を利用して細胞の種類を分けることが可能になります.
実際に頭の中では下記の質問に答えることで何が増殖しているのかを確認できます.
1 増殖は糸球体の内側か外側か?
→外側であれば1種類(ボウマン嚢上皮細胞)、内側なら2種類(血管内皮細胞, メサンギウム細胞)
2 その細胞は基質を産生しているか?
→産生しているのであれば、外側であればボウマン嚢上皮細胞、内側であればメサンギウム細胞
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