私は日本の資格である、腎臓専門医を持っています。
自分の背景は、総合内科の後期研修医をしてその後、腎臓研修を選択した身で10年目前後であるため総合内科専門医を取得した以降に受験しました。今後腎臓内科医が増えるといいなと思いつつ、将来受験される方のために今回は自分が専門医受験をした際の、試験対策や注意点について書こうと思います。
最初に
そもそも今後専門医制度は変更になる可能性が高く、自分に受験資格があるのかを確認することから始まります。なので常に情報のアップデートが必要です。
2019年の受験の時は、事前にレポートを提出することが義務付けられており、それを提出して初めて、筆記試験の資格を得ることができました。(細かい募集要項、条件はここを参照)
さて試験のことを書く前に、まずは全員提出する必要のあるレポートについて書きます。
症例を集めるのは基本的には問題ないと思います。ただ、いざ急にまとめて作ろうとすると意外と記憶は曖昧なことが多いので、何かの折にまとめておくことをおすすめします。注意点は下記の2つです。
1 期日厳守
当たり前ですが、提出物の期日は絶対に守らないといけません。期日を過ぎた瞬間に受け取りが拒否されます。消印有効か必着かも確認した方が良いです。
提出にギリギリ間に合わなかった人へは、詳細な到着時間や受け取り時間を書いた手紙/葉書が郵送されてきます。
2 症例レポートの入力フォームがやりづらい
指定されたエクセルのセルの中にそれぞれの部分を入力をします。これが非常に煩雑であり時間が予想よりかかります。
自動保存はできないので適度に保存をしておかないと、これまで入力したデータの喪失につながる可能性があります。私自身、2回泣きをみました。
別のところにサマリーをワード形式などで作成し、その後コピー&ペーストを繰り返す方法で作成しました。
具体的な勉強方法
試験を受けて感じたことは、①腎病理を絡めた問題が多く、②重箱の隅をつつくよりも本質を問う問題が多いような印象を受けました(全体のうち50%弱)。
本番の問題の難易度は、2020年度セルフトレーニング問題に似ているように思いました。知識を問うというよりも、実臨床での判断力を問う問題が多い印象であり良問であると感じました。新しくなったHPにも、ここの部分を勉強するようにと記載がありますので参照ください。
出題範囲は膨大であるので、腎病理を中心として知識を有機的に結びつけることが最短での合格への近道と思います。
そこで私が専門医試験の準備の際に使用したものは下記の3冊+例年のセルフトレーニング問題になります。
・〜所見を「読んで」「考える」~ 臨床医のための腎病理読解ロジック〜
・過去のセルフトレーニング問題(諸先輩方からもらうなどする)
・問題集2冊
①New専門医を目指すケース・メソッド・アプローチ 腎臓疾患<第3版>
②腎臓病セルフアセスメント問題と解説2012
上記の本を用いた勉強の仕方は、最初に上野先生の腎病理の本をざっと1周読んで疾患像の大極的な考え方を身につける。繰り返し読み、基本的な考え方や知識を定着させます。
その上で、まずは①を解きます。1回目は解説を隅々まで読む。その時に都度、ロジックの本に立ち帰り読む。繰り返すことが重要です。そして①では間違ったところにチェックをつけます。2回目は間違ったところを中心に解き直します。
それが終了したら過去のセルフトレーニング問題を解きます。これはそのままの問題が時々出てくることがあるので自分は5年分を解きました。毎回解説を読む時にロジックにも戻るのを忘れないようにします。
そこが終了したら次に②を解きます。おそらく①が終わった後であれば、尿細管のところ以外はさほど間違うことはないのでは?と思います。問題自体も古いので、②を完璧にする必要はないかと思います。
上記のやり方は受験者の背景にもよりますが、1日1-2時間勉強したとして、2から3ヶ月くらいあれば完成するように思います。
直前はロジックを読みながら風邪ひかないように注意していました。前日はしっかりと寝ることが大事かなと思います。
本番
私の時は試験会場は秋葉原でした。会場まで迷子になり集合時間ギリギリに到着しました。教室は小分けされておらず、受験者全員で同じ教室でした。今年は受験者が結構多いと偉い先生方が言っていました。
試験はマークシート形式です。試験中は落ち着いて受けることができます。途中でのトイレ休憩は可能(女性用トイレは列ができていた)。必要なものは筆記具と時計。
早めに回答が終われば、確か終了1 or 2時間前までであれば、帰宅可能になります。もちろん帰宅したら戻ることはできません。試験時間の割に問題数はそれほど多くないので、比較的余裕を持って回答できるし、見直しする時間の余裕もありました。早めに帰っている人もちらほらいました。問題冊子の持ち帰りはできません。
問題ですが、尿細管の蛋白の問題が初めて見たと思ったくらいでそれ以外は大体聞いたことあるか、今回の勉強方法の中でカバーされている印象を受けました。
受験される予定の方、頑張ってください。
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