血液ガス分析はバイタルサインと同様, 目の前の患者の状態を評価するのに極めて有用なツールです。ただし検査の1つであるため、検査にありがちなピットフォールを回避しながら対応する必要があります。
血液ガス分析を実施する状況
①診断 酸塩基平衡異常の評価、呼吸不全の評価、珍しい病態の診断(CO中毒など)
②効果判定 敗血症での乳酸値、電解質異常の改善など
特に①に関しては、バイタルサインの変調を来していることが多く有益な情報を得ることができます。
血液ガス分析を実施する状況は、酸塩基平衡異常を考慮した場合や、換気異常を評価する時です。酸素化のみであればSpO2で評価すれば事足りることが多いです。しかし、本当に低酸素血症があるのか?ということを証明するために、あえて動脈血液ガス分析を行うこともあります。
では分析方法はどのように行うのが良いでしょうか?
繰り返し同じ方法で行うことが有効と考えられます。
血液ガス分析の評価の順番
1. 目の前の患者の結果はどう予想される?
2. 血液ガス分析はそもそも信用できるか?
3. アシデミア or アルカレミア?
4. Primary(最初に想定)の病態は?
5. 代償性変化は?
6. AGは?
7. Δ/Δは?
8. 最終的な診断は?
9. それぞれの酸塩基平衡異常の結果, その原因疾患は?
10. 診断し治療した結果, 最終的に血液ガス分析は改善した?
*5,6,7に関しては、施設や個人で順番が異なることがあります。
**7に関しては、補正HCO3-という概念で評価する場合もあります。(根本的には同じ。)
それぞれのステップにおいて注意点が少しずつあり、抜けなく評価することで、血液ガス分析を聴診器のように使いこなすことができるようになると思います。
コメント