顕微鏡的血尿ー考え方

腎臓病

症例 55歳男性, 尿潜血2+, 尿タンパク1+との指摘あり紹介となる. 本人から, 尿の色の変化は特にないとのこと.

 

 このような症例がきたらどう考えますか?

 尿潜血とタンパクがともに陽性ですがまずは, 再現性を確認します.

 併せて, 尿沈渣も実施します.

 再検査を行ったところ, 本患者ではRBC 5-10/HPFであり, 尿蛋白1+であるという.

 尿潜血陽性かつ>3 RBC/HPF(米国2012AUAガイドライン、日本の場合は>5/HPFで)であり, これは真の血尿=顕微鏡的血尿です.

  本症例では, 加えて, 尿タンパクも陽性です. 同時に影響を受けるのは代表的な部位としては糸球体です. ただ程度によっては非糸球体の腎実質疾患(結石, 外傷, 間質, 尿細管障害,嚢胞, 腫瘍)や 尿管などの腎後性の要素でも起きえます.

 同時に問診, 腎機能検査を含めた血液検査, 腹部超音波検査を用いてさらに腎臓の機能, 形態を評価します.

 変形赤血球, 赤血球円柱が認められる場合は糸球体疾患の可能性が高く, 正常形態の赤血球であれば非糸球体疾患の可能性が高いと考えます.

 ただし, 最終的には糸球体疾患, 尿細管, 間質性疾患の診断は腎生検でのみなされるため, 生検の適応に該当するかを確認し必要であれば腎臓内科に紹介します. また, 腎後性を考えた場合は, 泌尿器科に紹介します.

 顕微鏡的血尿を呈する具体的な疾患名は非常に多いため上記の考え方を身につけ, その都度, 確認することが重要です.

 追記:米国での血尿診断ガイドラインが改訂されています。

 まとめ

 ・顕微鏡的血尿を来す疾患は腎臓の糸球体から腎後性まで認められます.

 ・尿沈渣で変形赤血球が認められた時は糸球体疾患の疑いが高まるため, 腎臓内科に相談します.

 

 

 

 

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