腎臓超音波検査ー使い方は?

腎臓病

 症例 70歳男性が腎機能障害で来院. Cr 1.5mg/dl, (本来のベースライン0.8mg/dl)で, 自覚症状なし.

 AKIの鑑別を要する状況である. 必ず, 病歴, 身体診察, 尿検査(定性と沈渣), 腎臓超音波検査を用いて評価する.

 さてここで考えるのが, 腎臓超音波検査で何を評価するのかということである. AKIの際の評価に関しては下記が考えられる.

 1 腎臓サイズの確認, 2 エコーの輝度, 3 水腎症の有無, 4 RI(Resistive index)

1 腎臓サイズの確認

 ・正常値は年齢により微妙に異なる.

 ・腎臓の全長を確認し, 長いか短いか確認する

 (1)正常は大体11cmであり, 10~12cmである. (2)左腎臓の方が右腎臓より0.3cmほど長い. (3)女性の腎臓の方が男性よりも0.5cm短い. (4)60歳よりも若くて<10cmの腎臓のサイズは変である.(5)腎臓サイズは60歳を超えると減少する.

 ・萎縮と腫大に注目する

 萎縮:CKD

 両側の腫大:浸潤性疾患(リンパ腫, サルコイドーシス, アミロイドーシス), 急性の腎実質の疾患(浮腫や炎症), 急性間質性腎炎, 過剰濾過(肥満, 糖尿病性腎症), ADPKD

 一側の腫大:対側の腎臓の機能不全, 腎盂腎炎, 腎動脈狭窄, 腎梗塞, 腎静脈血栓症, 先天性

 ・皮質の厚さ:1cm以上が正常

 1cm未満:萎縮でありCKDを示唆する.

2 エコーの輝度

 ・肝臓, 脾臓と比較する.

 輝度の亢進:組織学的変化(間質の炎症や萎縮)

 輝度の低下:急性腎皮質壊死, 浮腫

3 水腎症の有無

 多くの場合は診断可能であるが,

 ・偽陰性=閉塞はあるが水腎症が認められない.

 疾患:後腹膜繊維症/腫瘍, 腎前性(脱水), 閉塞したばかり

 ・偽陽性=閉塞はないが水腎症が認められる.

 妊娠, 膀胱尿管逆流の治療後,巨大膀胱と尿管, 膀胱禁満, 尿路感染症, 腎性尿崩症

4 RI resistive index

 ・腎臓の分節動脈の流速を計算

 正常値:0.56-0.66

 >0.85:微小血管の障害の可能性あり

 慢性期管理の場合は, 単純嚢胞(平滑, 内部均一など)か複雑嚢胞(石灰化, 隔壁あり, 内部エコー不均一)かを判別し, 複雑嚢胞であれば造影CT検査ないしMRI検査で評価する.

 参考文献:Clin J Am Soc Nephrol. 2014 Feb;9(2):382-94. 

まとめ

 腎臓超音波検査では腎サイズの確認, エコー輝度, 水腎症の有無, RI(Resistive index)を評価する.

  

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