血液ガス分析ー分析開始前の確認ー

入院管理

血液ガス分析を考える上での全体像に関してはここを参照

テーマ:血液ガス分析の値はそもそも信用できるか?

参考になる文献はこれ

血液ガス分析検査に限らず検査に対して臨床医が知っておくべき事は一般的に①Pre-analytical(検査前)②Analytical(検査の結果解釈)③Post-analytical(検査の解釈後の対応)の3つの部分から成りますが、今回はテーマにもあるように①に関して考えてみます。

Pre-analytical のエラーには何があるでしょうか?

検査は様々な過程を経て臨床医の前に結果が提示されます。まずは検査のオーダーから結果の取得までにはどのような過程があるでしょうか?

血液ガス分析の検査オーダーから結果の取得までの過程

①医師のオーダー
②患者を同定
③適切な手順で採血
④検査室への検体の運搬
⑤機械による検査結果

①、②を間違うということは、医療事故にもつながる内容です。
①に関しては検査の適応を理解する必要があります。
②に関しては患者取り違えを防ぐために。
これまでの報告では特に③と④の段階でエラーが起こることが多いと言われています。
一例として、検体の提出が遅れた場合にどのような結果となりうるでしょうか。

正常者の血液ガス分析の検体の提出が遅くなった場合に想定される変化
・PaO2  低下
・PaCO2  増加
・pH    低下

他のパラメーターも様々な因子により影響を受けると考えられています。

血液ガス分析で影響を受ける因子より

なので、やるべきことは大きく2つです。

①Pre-analyticalのエラーが起きていないか確認します。

②H+, pH, HCO3-, PaCO2の関係を確認します。

①ヘンダーソンの式②pH 7.1-7.5での[H+]とpHの関係式です。

①ヘンダーソンの式

[H+]=24× [PCO2]/[HCO3-]

②pH7.1-7.5における、pHとH+の関係(図):


上記の範囲では、図にもありますが関係式が成立します。
(pHの小数点以下の数)+(H+濃度nmol/L)=80 で表すことができます。

例: PaCO2 40、HCO3- 24だった場合、H+=40となります。②の関係式に入力すると、pHの小数点以下の数が40となり、pH 7.40が導かれます。ただし表にも記載したように、pH<7.1や7.5<pH までは近似できないため注意が必要です。

まとめ

・血液ガス分析はpre-analysis, analysis, Post-analysisの3つのフェーズに分けられる。
・解析を始める前にH+, pH, HCO3-, PaCO2の関係性が適切か確認する。

コメント

タイトルとURLをコピーしました