CKDのマネジメントー原疾患の検索

腎臓病

 症例: 66歳男性 ここ3ヶ月でeGFR 42から40と推移しており慢性腎臓病を疑われ紹介

 原因検索はどのように行うのが良いでしょうか?

 最初にしておそらく最大の問いは,

「なぜCKDになったか?」です.

 原因疾患を評価するためには, 急性腎障害(AKI: Acute kidney injury)の評価の際と同様に, 腎前性, 腎性, 腎後性と部位別に評価します.

 病歴と身体診察に加えて, 尿検査(沈渣を含む), 腎臓超音波検査までを行いどの部位に問題があるのかを確認します. 状況に応じて専門家に相談し腎生検を行うことも検討します.

 表:CKDの部位別の原因の一例

分類考慮される原因尿検査腎臓超音波検査
腎前性慢性心不全
肝硬変
ごくわずかのタンパク+
沈渣正常
血管系高血圧
腎血管疾患
TMA(血栓性微小血管症)
少量のタンパク
沈渣正常
DM以外は腎サイズの減少
糸球体慢性糸球体腎炎
DM
尿タンパク+
RBC +/-
HIV, DMは腎サイズの増加
尿細管間質遺伝性疾患:腎嚢胞疾患(PKD, CAKUT)
浸潤性疾患
慢性尿細管間質性腎炎
尿タンパク+<2g/日
WBC +/-
PKD: 大きい嚢胞性の腎サイズ
浸潤性疾患:両側腎腫大
腎後性尿道の閉塞, 両側性の尿管狭窄
後腹膜繊維症
ごくわずかのタンパク+水腎症
後腹膜繊維症の場合は軽度の水腎症

 頻度としては糖尿病, 高血圧が多いと言われています.

 よく, 「慢性糸球体腎炎や糸球体腎炎疑い, 腎硬化症疑い」などと記載されていることがありますが, その文言をそのまま信じるのではなく,

目の前の患者さんのCKDの原因は何かな?

 と追及する姿勢が必要だと思います.

 既述したように,

 腎機能低下の予防のためにやれることは,

 ①血圧管理, ②血糖管理 , ③尿タンパクの管理

 それに加えて

 ④原疾患への対応

 の4つのみです.

 いかに原因を突き詰めることが重要かお分かり頂けたでしょうか.

まとめ 

CKD患者さんの原因の同定は最も大事なことで将来の腎臓の予後にも影響する.

  なんとなくの診断名はあくまでも疑い病名であり, 状況に流されない.

  

 

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