CKDのマネジメントー全身倦怠感ー

慢性腎臓病

症例:70歳男性,  糖尿病性腎症でCKDG4, 本人さんより「なんというか最近だるいんだよね。」

日常の外来でよくある何気ない会話。

そう、きっと今週の外来で、みなさんも同じような会話を患者さんとしませんでしたか?

実はここで、「あぁそうですか。で、eGFRですけど〜」と会話を続けていくのではなく、何かしら原因があるのでは?と思い、「いつからどのように感じるのでしょうか?」と興味を持って原因を分析していきたいところです。

ただ倦怠感って主観的な表現でもあり、どう評価して良いか検討もつかないという人もいるでしょう。

CKD患者の全身倦怠感の背景を理解するために、この論文のことを心に留めましょう。

この論文の中で個人的に重要と考えた点を列挙します。詳細は本論文を参照ください。

  1. 全身倦怠感(fatigue)は主観的な表現だけでなく、定義も曖昧であり全体像が掴みづらいです。
  2. これまで様々な方法で全身倦怠感を定量化する試みが行われているますが、現時点での全身倦怠感の確立した明確な定義はありません。
  3. 全身倦怠感は、CKD Stage2頃から出現して、CKDの悪化とともに頻度が増加すると言われており、全CKD患者の70%に出現し25%の患者が重篤であったと報告されています。
  4. 全身倦怠感があることはその患者の、死亡、入院と腎機能悪化に関係している可能性が指摘されています。
  5. 全身倦怠感の病態は複数かつ多面的(Figure2を参照)ですが、酸素供給の低下による全身の酸欠が根本的原因の1つであると考えられています。
  6. 治療も多岐にわたりますが、貧血があれば貧血の治療(ESA投与)を行うことで症状の改善に寄与する可能性があります。
  7. 他に想定される原因によっては、運動、VitD投与、アルカリ投与、CPAPの使用、抗うつ薬などが有効である可能性は想定されていますが、いずれも明確な臨床試験は行われていないのが現状であり、個別化して考える必要があるかもしれません。

目の前のCKD患者さんで、「体がなんかだるいんだよね。」と訴える人がいたら是非、耳を傾けてみてはいかがでしょうか。

 図2:CKD患者さんの全身倦怠感の原因と治療について 本文より参照

 複数の要因からなるため、複数の治療法があると想定されている。

 

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